2013年07月03日

ベスト発売記念!バンプ「隠しトラック」の世界一詳しい全曲解説 前編(1998-2005)

ネット黎明期……。ちょうどそれに合わせるようにファンを獲得していったBUMP OF CHICKENの、大小問わない様々なファンサイトが林立していた。情報を求めて通い詰めた多くのファンが最も楽しみにしていたコーナーといえば、当時からオリジナリティありまくりだった「用語解説」と、そしてもう一つが……「隠しトラック」情報であった。
現在こそWikipediaを調べれば一覧がすぐに出てきてしまうし、プリギャップ(CDを巻き戻す形で再生する隠しトラック)も使われなくなったし、隠しトラックだけの情報を調べようというリスナーも少なくなってきたように思う。
だが! そこで! あえて!
当ブログではBUMPのベスト盤発売を記念(?)し、BUMP OF CHICKENの過去すべての隠しトラックを雑感を交えながらこのページで完全補完してみようと思う。
縦に長くなってしまうが、どうかご容赦いただきたい。
※ページの最後に、現在はレアとなってしまったプリギャップの試聴方法、PCへの取り込み方法を追記しておくのでぜひ参照して欲しい。

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2013年06月27日

ウラニーノ ピストン大橋脱退ラストライブ 2013年6月20日 下北沢CLUB Que ライブレポート

acari自主企画『とけない魔法 vol.4』/2013年6月20日
at 東京 下北沢CLUB Que
ヒラオコジョー・ザ・グループサウンズ/acari/ウラニーノ

1.愛してる
2.手の鳴る方へ
3.ありがとうとごめんねと
4.無題
5.縦笛ハンター
6.ブランクミュージック

EN1.ツアーメン
EN2.贈るピストン

6月11日の脱退発表からわずか9日、急転直下で決定したウラニーノ12年体制最後のライブが対バンというのは、ライブバンドだったウラニーノにとって、ある意味相応しい舞台だったのかもしれない。ともかくの6月20日のCLUB Que。実は、対バンでウラニーノを観るのはこれが初めてだった。
開場時こそゆるやかな動員だったが、開演までには会場の半分が埋まるだろうかという感じへ。まずはトップバッター、ヒラオコジョー・ザ・グループサウンズによるライブ。日常生活をしっかりとした眼差しで捉えた歌詞とサウンドが印象的なバンドだった。
ヴォーカルのヒラオコジョーがMCで、「バンドを続けていると本当に色々なことがある。いろんな人と知り合えるが、ファンだけはどうしてもこっちから見つけることが出来ない。かけがえが無い。今日で音楽をやめますと言っても、『辞めないで!』と何の忌憚もなく言ってくれる存在はファンしか居ない」と話していたのがとても印象的で、うわぁ……と思ったことと同時に、けれどそれでも辞めてしまったら、それはファンを失うということなんだな、という冷酷な現実もちょっと突きつけられたりして、改めてマンパワーの何かを感じたような気がしました。ウラニーノ、そうでなくてくれ! しかし他人のバンドのMCの時間中も、ちゃっかり後ろから見ていて誰よりもゲラゲラ笑っているピストン、やっぱりすごいわ……。
二番手、そして本来はトリのはずだったacariの出演。音楽の印象は曲ごとに大きく違えど、しっかりとした演奏力のあるバンドだった。何とウラニーノとはほとんど面識がないといい、そんな中でトリを譲るというありえない(笑)決断をして下さったことが本当に在り難く、ファンとしては心から嬉しいものだった。結果的に企画を乗っ取った形になったから、ぜひ次は『とけちゃった魔法』を企画して頂きたい。行きます! (Queでね!)

そして21時過ぎ、いよいよ客が増えてゆき、CLUB Queはほぼすし詰め状態に。動員は200人を超えていたというから、ほとんどキャパ満員に近い状態だったはず。バンドマンも多かったようで、最近対バンが続くnano.RIPEのメンバーも後ろで見ていたということだった。
そして開幕! いきなり前説の音楽が大音量で流れたかと思うと、リクルートスーツ姿に首から「就活中」と書かれた札をぶら下げたピストンが満面の笑みで登場! あんたらすごいわ!! いきなり大爆笑の会場に他メンバーも加わり、お決まりのピストンひとり山岸(さん)ペロペロ⇒メンバー一同による一糸乱れぬダンス が次々と披露。「今夜もよろしくねッ!」というピストンの合図から山岸がギターをかき鳴らし、『愛してる』から現メンバー最後のライブがスタート。激しいギターリフから3人のアンサンブルが始まった瞬間の鳥肌! 過去最も激しい『愛してる』の大熱演。正直、僕はもうこの辺りからダメで、間奏で3人が寄り添うように中央に集まって互いにギャンギャンと楽器をかき鳴らす姿から涙が止まらなかった。スーツ姿のピストンと、バンドマン姿の山岸・小倉(さん)。別れを否応なく想像させるその演奏風景が、まるで青春の終わりのようだった。
あっという間に演奏終了。観客から雄たけびが次々と上がる。続けて静かに始まったのが『手の鳴る方へ』。この曲も中盤以降畳み掛けるような展開が見事ですが、ピストンのコーラス……「山岸:行かなくちゃ」「ピストン:行かなくちゃ」「山岸:行かなくちゃ……」の部分が、まるで今のこの瞬間の掛け合いのようで……こちらも涙が止まらない。正直、ここまで感情的になってしまうとは思っていなくて、僕の中でどれだけウラニーノが大きかったのかが、もう、辛かった……。
が、だ。
ここからのMCタイムで雰囲気一転!
最後とばかりにキモさ全面押しのピストン。会場からの「キモーイ!」の掛け声に最高に気持ち悪い声で「知ってる〜、ウフフフフフフ」と返したピストンに千年の恋も冷めゆく。山岸が「ピストンのラストライブとなった途端に猛烈な勢いでチケットが売れて……、有り難いんですが皆さんもっと普段からライブ来て下さい!」とぶっちゃけ、ピストンがツッ込むいつもの漫才には、湿っぽさを感じさせてたまるか、という、最後までショウであり続けるウラニーノの姿がありました。「皆さん間違っても絶対に泣かないで下さいね! むしろ一人泣くピストンを全員で指差して笑おうって趣旨ですから!」「ちょっ、じゃあ俺、絶対泣かない!」「……皆さん、いまのよく覚えておきましょう!」
3曲目は、「ピストンもこういう気持ちかもしれない……、曲名だけですが」という紹介から『ありがとうとごめんねと』。この曲はベースが難しく、100テイク近くも撮り直す羽目になったというピストン的にはいわくつきの曲。ただ今回は、1番のサビ前まではベースを弾かず、ピストンがひとり歌詞を口ずさんでいたのがとても印象的でした。
続けて『無題』。再び3人の激しいアンサンブルを堪能すると、あのボイスパーカッションと共に『縦笛ハンター』が開幕!! 最近のライブはわからないのですが、山岸が「学生時代! 好きな女の子に振られました! ならどうしますかッ! 縦笛を舐めるしかないでしょーーーーっ!!(キレ気味)」と一切フォローなしで叫んでいたのはちょっとヤバイ感じを想像させ、しかしそれが同時にとても気持ちよ過ぎたりなんかして。ある意味会場を最高潮で乗っ取った瞬間でした。だって満員のCLUB Que、全員が「キャーー!」でしたからね!!
楽曲中盤、「目を閉じる そして感じる…… (I kiss you rips……)」の部分はピストンが「安藤さんの(エア)リコォダーァ! ンンン〜ッレロレロレロレロレロレロ……せーのっ、ベレロレロレロレロレレオ……」といつもより長めに、ヤバい感じに披露。エスカレートしてゆくピストンの醜態(明日から無職)に、思わず山岸も吹き出して観念したように演奏再開。会場も大合唱でサビを連呼。あの謎のハッピー空間は何だったのか……。さらに小倉が前に出てきて、最後のフレーズのギターまで弾き始め(山岸はドラムを叩きながらヴォーカル)、盛り沢山の内容で拍手喝采の中、演奏終了。
MCでは、もちろん今後もウラニーノは2人で活動継続してゆくことが明言され、決定しているライブ、秋のリリースがあることに関してもアナウンス。客席から「オーロラ!」という掛け声が上がり、普段は会場からの声には反応しないスタンスであるという山岸が「ここでオーロラ!?」と思わず動揺してしまったのが面白かったです。ピストンも、「僕、書類送検されちゃう!」
最後の曲は、新曲「ブランクミュージック」。「ピストンと僕が生まれた1980年はジョン・レノンが死んじゃった年、ビートルズを聴いて音楽を始めた僕と、TM NETWORKを聴いて音楽始めたピストンで最後に演奏する曲です」。あまり歌詞が聞き取れなかったのですが(スミマセン)、ノリノリのロックナンバーで〆でした。

アンコール待ちは「ピストンコール」! 途中なぜか男女でパート分けされ、「ピストン! ピストン! ピストン! ピストン!」。
わずか数分でアンコールスタート! 前説は「じょいふる」。会場全員で踊り狂う。開始早々に「本日、スペシャルゲスト、佐久間正英さんに来ていただいています!」という山岸の紹介でプロデューサーの佐久間正英氏が登場、何と黄色い新品のベースを手にしている! ピストン脱退決定前に佐久間氏にオーダーしていたというベースが本日完成したというサプライズ! 嬉しそうだが、今日この場で貰った瞬間に弾かなければならないという妙なシチュエーションに狼狽するピストン。素敵なはなむけのプレゼントだな! と思った瞬間に、「請求書はピストン本人に……」。
音が出るまでかなり長い間が出来てしまい、全員苦笑しながらも、最後には何とかヴィーンと音を響かせて『ツアーメン』がスタート! 「ピストンとの時間は、とても愉快なものでした。これからもウラニーノを続けることがピストンとの最後の約束です!」。素晴らしいバンドアンサンブル、高揚感、なぜかカラッとしたその空気は本当に愛おしく、ああ、これで終わりなんだなぁ、と思いながら最後の最後の1音……、全員で見合わせて……ビーン。ピストン、音を外される! 虚しく響く最後のベース、ワンテンポ遅れてギターとドラムがジャーン! 「おーいっ!おーいっ!」と動揺しまくるピストンを尻目に、拍手喝采を浴びるこれからのウラニーノ! 頑張って下さいっ!
最後に、今日のライブ出演者全員を交えて(みなピストンのお面を付けながらの登場、ステージ上がピストンだらけになるという異様な光景に)の「贈る言葉」の替え歌『贈るピストン』の大合唱(「おくる〜ピスト〜ン〜」の部分だけであとは同じ歌詞)。何気にウラニーノメンバーによる演奏であり、ピストンもベースを弾きながら自分を贈る歌を歌う。特に初対面のacari! このノリに付いて来て下さってありがとうございます! ごめんなさい! 「最後に一言!」と言われて特に何の気の利いた言葉が出てこないピストンさんが大好きでした。グッドラックです! これからも歩み行く、ぼくの青春の3名様に幸多かれ!


※特にMC内容は記憶から起こしているので文意が変わっている恐れが十分にございます。ご了承ください。また、記憶に乏しい箇所はtwitterなどからのライブレポートも一部参照しています。

2013年05月15日

【小ネタ】BUMPベストアルバムのジャケットを観察してみた

19992004.jpg
BUMP OF CHICKEN I<1999-2004>

20052010.jpg
BUMP OF CHICKEN II<2005-2010> ※追記も参照

オリジナルはこちらなどを参照。
蜷川実花のInstagramでも観ることが出来るが、配置が変わっているので参考にならないかもしれない。

■追記(2013.05.23.)
<2005-2010>のジャケット中央、犬の写真があるが、これはシングル『ハルジオン』の隠しジャケットに登場している
増川の飼い犬(当時?)の「おおじろう」だ。もしやと確認したら、ほぼ間違いなし。
当時の写真の別テイクかもしれない。何が「DANNY」だー! 恥ずかしい!


posted by ゆうろく at 11:55| Comment(1) | TrackBack(0) | ■BOC - NEWS

2013年04月12日

BUMP OF CHICKEN初ベスト解説〜「BUMP OF CHICKEN I<1999-2004>」&「BUMP OF CHICKEN II<2005-2010>」

BUMP OF CHICKENの初となるベストアルバムの発売・内容が2013年4月12日(藤原基央の誕生日)発表された。

BUMP OF CHICKEN I<1999-2004>
01.ガラスのブルース (初出:『FLAME VEIN』1999/03/18)
02.くだらない唄(初出:『FLAME VEIN』1999/03/18)
03.ランプ(初出:「シングル」1999/11/25『THE LIVING DEAD』2000/03/25)
04.K(初出:『THE LIVING DEAD』2000/03/25)
05.ダイヤモンド(初出:「シングル」2000/09/20『jupiter』2002/02/20)
06.天体観測(初出:「シングル」2001/03/14『jupiter』2002/02/20)
07.ハルジオン(初出:「シングル」2001/10/17『jupiter』2002/02/20)
08.Stage of the ground(初出:『jupiter』2002/02/20)
09.スノースマイル(初出:「シングル」2002/12/18『ユグドラシル』2004/08/25)
10.ロストマン(初出:「シングル」2003/03/12『ユグドラシル』2004/08/25)
11.sailing day(初出:「シングル」2003/03/12『ユグドラシル』2004/08/25)
12.アルエ(初出:『FLAME VEIN』1999/03/18「シングル」2004/03/31)
13.オンリー ロンリー グローリー(初出:「シングル」2004/07/07『ユグドラシル』2004/08/25)
14.車輪の唄(初出:『ユグドラシル』2004/08/25「シングル」2004/12/01)

BUMP OF CHICKEN II<2005-2010>
01.プラネタリウム(初出:「シングル」2005/07/21『orbital period』2007/12/19)
02.カルマ(初出:「シングル」2005/11/23『orbital period』2007/12/19)
03.supernova(初出:「シングル」2005/11/23『orbital period』2007/12/19)
04.ギルド(初出:『ユグドラシル』2004/08/25「人形劇ギルド」2006/09/20)
05.涙のふるさと(初出:「シングル」2006/11/22『orbital period』2007/12/19)
06.花の名(初出:「シングル」2007/10/24『orbital period』2007/12/19)
07.メーデー(初出:「シングル」2007/10/24『orbital period』2007/12/19)
08.R.I.P.(初出:「シングル」2009/11/25『COSMONAUT』2010/12/15)
09.Merry Christmas(初出:「シングル」2009/11/25 アルバム初収録
10.HAPPY(初出:「シングル」2010/04/14『COSMONAUT』2010/12/15)
11.魔法の料理 〜君から君へ〜(初出:「シングル」2010/04/21『COSMONAUT』2010/12/15)
12.モーターサイクル(初出:「シングル」2010/10/13『COSMONAUT』2010/12/15)
13.宇宙飛行士への手紙(初出:「シングル」2010/10/13『COSMONAUT』2010/12/15)

インディーズ・初期楽曲の選曲はスタッフによって行われたようで、後は機械的なリリース順となっている。『FLAME VEIN』から「ガラスのブルース」の選出は順当だが、現在でもライブで頻繁に歌われる「リトルブレイバー」ではなく「くだらない唄」という辺りは少々意外か。最も驚かされたのは『jupiter』からシングル曲ではない「Stage of the ground」の選出。BUMP OF CHICKEN指折りの傑作のひとつであり、嬉しいサプライズである。
時期は、「T」がアルバム4枚から、「U」がアルバム2枚からとやや偏っているが、年代順とする以上はおそらくやむ終えないだろう。そして『ユグドラシル』発売でBUMPの楽曲は一区切りが入っているので、ここで切るのが正解だろうと思える。
ただし、あまりに選出がリリース順すぎて、初期の楽曲である「アルエ」が12曲目に唐突に表れたり、「U」の方に「ギルド」が(「人形劇ギルド」のタイミング)入るなど、もうちょっと曲順は工夫されても良かったような感じ。それでも、『U』の方は両A面の順序を引っ繰り返して「宇宙飛行士への手紙」で終わるような工夫がなされているし(機械的に言えば「モーターサイクル」が最後となる)、2曲目に「カルマ」が入る選び方がされてもいるなど、若干の工夫が施されているのは妥当と言えるだろう。
これで選出は、『FLAME VEIN』3曲、『THE LIVING DEAD』2曲、『jupiter』4曲、『ユグドラシル』6曲、『orbital period』6曲、『COSMONAUT』5曲、アルバム初収録1曲。全27曲。個人的には、ようやくベストアルバムが出てくれるという安堵感が強い。やっと「この1枚から聴きなよ」って友人に言えるよ……嬉しい。そして何よりもベスト盤ツアーがあることが楽しみだ。規模は上がっているがその分争奪戦も厳しいものになるだろう……。


posted by ゆうろく at 11:11| Comment(1) | TrackBack(0) | ■BOC - NEWS

2012年12月09日

ウラニーノワンマンライブat渋谷 2012年12月8日

ウラニーノワンマンライブ/2012年12月8日
at 東京 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUR
『ウラニーノ新喜劇全国ツアー〜動員頭打ち\(>_<)/〜
*本公演は基本的にロックコンサートです。』 ツアーファイナル

※追記:山岸日記で発表された曲名を反映、感想文を追記しました(12/12)

1.ロックバンド(新曲)
2.続・やぶ医者とわたし
3.中距離恋愛ラプソディ
4.ありがとうとごめんねと
5.新曲(花)
新喜劇〜「ウラニーノ刷新会議」
6.新曲(セクース オン ザ ビーチ)
7.無題(新曲)
8.明日を照らせ
手紙〜5年前の山岸へ
9.前進するビート
10.ぼくのロケット
11.ツアーメン
12.縦笛ハンター
13.大学生の悲鳴
En1.500円のクリスマス
En2.終着駅
En3.アンケートを握り締めて(新曲)

※曲数は一見少なめですが、公演は2時間半超という大ボリュームでした。

ウラニーノはずっと、「ロックバンド」のイメージと戦い続けていたバンドでした。「ロックンロールってキャラじゃないんですよね……」「曲を演り終えるとシーンとしてしまう……」なんて自虐的にMCで触れては歌い続けていて、もちろんそれは確かに、このバンドの醸し出すイメージの一つではありました。けれど一方で、まるでそれがひとつの狙いであるかのように、そのイメージが演出されているように思える瞬間も過去にはありました。ウラニーノを見続けている方ほど分かることだと思うのですが、ワンマンライブ中に起こるさまざまな「起伏」が、本当に最初から最後まで巧みに演出されていること、結して悪い意味ではなくて、特にフロントマンである山岸さんの、一種の「したたかさ」が実に見事だということ……。
でもそれは、このバンドの要素を支える演出の「影」であって、昔で言うなら、へっぽこな主人公のいじらしい姿や想いであったり、最近で言うなら、このどうしようもない日常を生きる人々への応援・励ましであったり、そういうものがウラニーノの「表」であり、「光」だったのです。そしておそらく、それらを表現するには、ワイルドで、一種の高揚感を誘うようなゴリゴリのロックバンドのイメージは似つかわしくなかったのでしょう。
ところが今回の「新喜劇」ワンマンは、その「ロックバンドのイメージとの対決」を鮮明に打ち出していました。まさにインディーズ・メジャー問わないロックバンドのお約束を冷徹に描き出す新曲『ロックバンド』で幕を開ける選曲、さらに2曲目にハードな『やぶ医者とわたし』をいきなり持ってくるという度肝を抜くセットリスト……。さらに、新喜劇で披露された新曲『セクース オン ザ ビーチ(曲名・仮)』も、「売れ線音楽」の要素を取り込みすぎてハチャメチャになってしまったという、強烈な皮肉とエスプリが効かされた痛快なもので、ウラニーノの、「こういうものにはなりたくない!」という宣言のような強い意志にスカッとさせられ、けれども同時にとても驚かされました。これまでは決して、そういう面を打ち出すバンドではなかったのですから。
しかしウラニーノは、ライブの途中から、タイトルの通り動員も頭打ち、ひとつの限界点を迎えていたらしい現在のバンドの姿そのものと、この演出をだぶらせてゆきます。毎度恒例『前進するビート』の手前にある手紙コーナーでは、はじめて山岸氏本人から本人への手紙が朗読。昨年、言葉にするだけでも辛すぎる大きな壁にぶつかったエピソードが語られ、5年前に自身が作曲した『前進するビート』への想いが叫ばれました。去年12月のワンマンでも、ピストン大橋の脱退にまつわるぶっちゃけ話が演出として取り込まれてびっくりしましたが、でももしかしたら、もしかしたらですが、このような、普段は決して明かされない、ロックバンドの一種の神聖化・タフネスさを真っ向から否定するような「告白」の連続もまた、このバンドの「戦っている意志」を示しているとしたら、どうでしょう?
昨年の「新喜劇ファイナル」は結構コント寄りで、「警察の検問」とか「マクース(マック)の店員」だったりしたわけですが、今回の実質的にコントは「バンドの方向性会議」だけで、売れるためにはどうする? と3人で話し合う姿は、まさにバンドの内情そのものをコミカルに表現したものだったと言えるでしょう。このライブそのものが、「ロックバンドのイメージとの対立」を戯曲化するための「新喜劇」だったことは言うまでもなく明らかでした。でもそれって、すごいことで。本当にすごいことで……。だって普段は絶対にそんなこと、言わないですよ。表に出さないですよ。そもそも知りたくもない。なのに、それがはっきりとした意思をもって、そしてショウとしてユニークに表現されていて、しかもそれを私たちがそれほど特別なこととは思わずに受け止めているというのは……。
あなたと同じ目線に立ちたい。あなたと同じ目線の世界であなたを励ましたい。
そういう想いの強さが、これまでのウラニーノの「かっこいいロックバンド」からの反逆と、「ヘボ」さの演出の理由なのだとしたら! しかし今回はそれが、表現したい内容とそのための演出が逆転し、あくまで影であったウラニーノのもう一つの姿が爆発したように感じられました。そして、それは、本当に、とんでもなく、心震える感動的なものでした。
アンコールのMCで、山岸さんは、「あくまでこれはショーなので、決してコント中での何やかんやは他のバンドさんを皮肉にしているわけではなくて……」と触れて笑いが起きていましたが、しかしこの言葉はどちらかというと、初めて自分から自分への手紙を朗読したことへの一種の照れ隠しのようにも感じられました。

一種のスターである「ロックバンド」としてではなく、悩み、みっともなくあがくその姿をさらけ出すということ。共に日常を生きるということ……。
今回のワンマンは、間違いなくここ数年で僕がみたウラニーノのどのワンマンよりも強烈で、素晴らしく、あくまで僕目線ですから何ともいえませんが、主観的に言えば、ウラニーノのひとつの大きな壁が崩れたように感じられたライブでした。

これからのウラニーノは、どう進むのでしょう。
今回のように、「ロックバンド」と戦う姿勢がまた現れてくるかもしれませんし、一方で、昨年の「収穫祭」で示されたような、東京を生きる人々への応援歌のカラーを再び打ち出してゆくかもしれません。たぶんそのどちらもが共存しながら、ウラニーノはまた、大きく変化してゆくのでしょう。
「次のツアーは、“レコ発完売御礼”にします!」と力強く宣言された今回のワンマン。紛れも無くウラニーノのひとつの季節が終わり、そして新たに始まった一夜だったと思います。
やっぱり大好きだよ! ウラニーノ。そして、かっこいい。ひたすらかっこいいのです。初めてのことですが、次のライブには友人を誘おうと思います。たくさんたくさん誘おうと思います。このバンドは、知られなきゃ、だめだ!


関東のワンマンで披露された未音源化の新曲一覧(20曲)

・明日を照らせ
・愛してる
・縦笛ハンター
・ファーマーの長男
・死ぬとか生きるとか
・夜を越えて
・晩夏
・中距離恋愛ラプソディ
・神様と東京ウォーク
・荒川クルーズ
・戦場に咲いた花
・ファーマーがダーリン
・音楽はあるか
・祈り
・ロックバンド
・無題
・アンケートを握り締めて
・新曲(花〜)
・新曲(セクース オン ザ ビーチ)
・手をつなぐ(ラジオでオンエア、レコーディングされている? が未収録)