2012年10月22日

#93 firefly【楽曲解説・歌詞解釈】

#93 firefly
シングル『firefly』(12.09.12)収録 ― track.1

『firefly』track.1 #94 ほんとのほんと→

<<<歌詞へのリンク>>>

■基本的情報
23枚目のシングル『firefly』に初収録されたシングル曲。2012年、「GOLD GLIDER TOUR」実施中、東京のスタジオで5月に完成。ツアーの真っ最中に藤原が曲作りをしたのはこれが初めてだった(ツアー中のレコーディングは「夢の飼い主」の前例がある)。
“firefly”は「蛍」の意。ライブで受けた情報量をそのままダイレクトに反映させた楽曲であり、シングルとしては久々に疾走感のある曲調となった。
珍しく藤原は、ほぼこの曲の主意であるところまでインタビューで語っており、<「夢は叶うよ」という言葉って、古くから言われていますよね。これって、実際には必ずしもそうならないからこそ生まれた言葉だと思うんです。(中略)欲望から生まれた大切な夢を、どうしても諦めなければいけなかった人たちがいる。道が閉ざされたら、切実な思いがあるほどその事実を受け入れるにはすごく時間がかかる。ただ、それでも勇気を出して諦めることは、歌詞には「黄金の覚悟」と書いていますけど、それはすごく輝きのある行為>と話している。


■一般的解釈
ほぼ上記で藤原が語った通りの楽曲であり、人間が「夢を諦める」瞬間の輝きを描いた作品。
1番では、「欲望」がやがて主人公の「夢」となり、自由に飛び去ろうとするその「光」(=夢)を必死に追いかけてゆく主人公の姿を描いている。
2番では、「どんなに頑張っても」どうしようもなくなり、遂に「光」を追いかけることを諦めることにした主人公の、その瞬間までのストーリーとなっている。
その後のCメロ部分では、「夢」を諦めても相変わらず進んでゆく社会や時間を残酷に、しかし的確に描き出し、圧倒的な大サビへとなだれ込んでいる。


■個人的読み解き
近年の藤原楽曲としてもかなり読み解きやすく、またストーリー性も強い(1番、2番と明快に物語が展開する)ので、ほとんど難しい箇所はないと言えます。
1番は本当にそのままで、難解な表現は<色んな場面を忘れていく>ぐらい。この箇所では「時間経過」を表現しており、既に過ぎ去ってしまった、夢を守ろうともがいた局面局面のことを指しているのでしょう。右に左に進路を揺さぶられながらも、わずかな光を見失わないように、社会の中でもがく主人公を描き出しています。
2番では、遂に、どうにもならない壁にぶつかってしまった主人公。夢が潰える、光を見失うその瞬間に主人公は<呼吸鼓動の 意味を考えた>。つまり生きている意味って何だろう、とまで(ふと、ですが)考えるほどに、追い詰められてしまいます。
しかし、見事な2番のサビ! <一人だけの痛みに耐えて(この痛みは自分以外には感じられない!) 壊れてもちゃんと立って/諦めた事 黄金の覚悟/まだ胸は苦しくて 体だけで精一杯/それほど綺麗な 光に会えた>。「黄金の覚悟」という言葉のきらめきもさることながら、この痛みの先に<それほど綺麗な 光に会えた>と救い上げてくるセンスは実に藤原らしいもので、見事です。最後の最後、殺し文句である<今もどこかを飛ぶ あの憧れと/同じ色に 傷は輝く>という一節は、本当に一瞬で、聴く者に“身体のどこかにある(心の)傷が、にぶく美しく輝いて見える”というファンタジックな一場面を空想させます。あまりにも素晴らしい! 「諦めた夢は今もどこかを飛んでいる」という一文からは、「Stage of the ground」の<君をかばって 散った夢は/夜空の応援席で 見てる>を彷彿とさせます。
『夢は叶う!』というテーマをもつ楽曲は数あれど、“夢を諦める”その瞬間の輝きを描き出したこの楽曲の着眼点は見事で、ほんとうの意味の“救い”と、何よりも圧倒的な“人間臭さ”を感じさせるものです。何かとネガティヴにとられてしまう、そして実際にネガティヴな行為である「夢を諦める」ということ。しかしそこに潜むそれまでの、その人が築き上げてきたドラマ、その人にしか抱けない物語は唯一無二で、圧倒的なものです。誰一人として共有できないこの物語を共有する、ある種の矛盾すらストーリー化して聴く者を鼓舞する、実に見事な楽曲であると言えるでしょう。
「夢」と人間の付き合い方を描いた作品では、ほかに「夢の飼い主」という楽曲もあります。





※この楽曲に関するメンバーのインタビュー記事を集めています!
コメント欄に、必ず「出典の雑誌・ページ・発言者(例:MUSICA 2011年1月号 45ページ・藤原)」を添えて、ぜひお寄せ下さい。
ゆっくりペースで追加・追記してゆき、より充実した記事にしていきたいと考えています。


posted by ゆうろく at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ■NEW ALBUM
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/58978603

この記事へのトラックバック