2012年12月09日

ウラニーノワンマンライブat渋谷 2012年12月8日

ウラニーノワンマンライブ/2012年12月8日
at 東京 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUR
『ウラニーノ新喜劇全国ツアー〜動員頭打ち\(>_<)/〜
*本公演は基本的にロックコンサートです。』 ツアーファイナル

※追記:山岸日記で発表された曲名を反映、感想文を追記しました(12/12)

1.ロックバンド(新曲)
2.続・やぶ医者とわたし
3.中距離恋愛ラプソディ
4.ありがとうとごめんねと
5.新曲(花)
新喜劇〜「ウラニーノ刷新会議」
6.新曲(セクース オン ザ ビーチ)
7.無題(新曲)
8.明日を照らせ
手紙〜5年前の山岸へ
9.前進するビート
10.ぼくのロケット
11.ツアーメン
12.縦笛ハンター
13.大学生の悲鳴
En1.500円のクリスマス
En2.終着駅
En3.アンケートを握り締めて(新曲)

※曲数は一見少なめですが、公演は2時間半超という大ボリュームでした。

ウラニーノはずっと、「ロックバンド」のイメージと戦い続けていたバンドでした。「ロックンロールってキャラじゃないんですよね……」「曲を演り終えるとシーンとしてしまう……」なんて自虐的にMCで触れては歌い続けていて、もちろんそれは確かに、このバンドの醸し出すイメージの一つではありました。けれど一方で、まるでそれがひとつの狙いであるかのように、そのイメージが演出されているように思える瞬間も過去にはありました。ウラニーノを見続けている方ほど分かることだと思うのですが、ワンマンライブ中に起こるさまざまな「起伏」が、本当に最初から最後まで巧みに演出されていること、結して悪い意味ではなくて、特にフロントマンである山岸さんの、一種の「したたかさ」が実に見事だということ……。
でもそれは、このバンドの要素を支える演出の「影」であって、昔で言うなら、へっぽこな主人公のいじらしい姿や想いであったり、最近で言うなら、このどうしようもない日常を生きる人々への応援・励ましであったり、そういうものがウラニーノの「表」であり、「光」だったのです。そしておそらく、それらを表現するには、ワイルドで、一種の高揚感を誘うようなゴリゴリのロックバンドのイメージは似つかわしくなかったのでしょう。
ところが今回の「新喜劇」ワンマンは、その「ロックバンドのイメージとの対決」を鮮明に打ち出していました。まさにインディーズ・メジャー問わないロックバンドのお約束を冷徹に描き出す新曲『ロックバンド』で幕を開ける選曲、さらに2曲目にハードな『やぶ医者とわたし』をいきなり持ってくるという度肝を抜くセットリスト……。さらに、新喜劇で披露された新曲『セクース オン ザ ビーチ(曲名・仮)』も、「売れ線音楽」の要素を取り込みすぎてハチャメチャになってしまったという、強烈な皮肉とエスプリが効かされた痛快なもので、ウラニーノの、「こういうものにはなりたくない!」という宣言のような強い意志にスカッとさせられ、けれども同時にとても驚かされました。これまでは決して、そういう面を打ち出すバンドではなかったのですから。
しかしウラニーノは、ライブの途中から、タイトルの通り動員も頭打ち、ひとつの限界点を迎えていたらしい現在のバンドの姿そのものと、この演出をだぶらせてゆきます。毎度恒例『前進するビート』の手前にある手紙コーナーでは、はじめて山岸氏本人から本人への手紙が朗読。昨年、言葉にするだけでも辛すぎる大きな壁にぶつかったエピソードが語られ、5年前に自身が作曲した『前進するビート』への想いが叫ばれました。去年12月のワンマンでも、ピストン大橋の脱退にまつわるぶっちゃけ話が演出として取り込まれてびっくりしましたが、でももしかしたら、もしかしたらですが、このような、普段は決して明かされない、ロックバンドの一種の神聖化・タフネスさを真っ向から否定するような「告白」の連続もまた、このバンドの「戦っている意志」を示しているとしたら、どうでしょう?
昨年の「新喜劇ファイナル」は結構コント寄りで、「警察の検問」とか「マクース(マック)の店員」だったりしたわけですが、今回の実質的にコントは「バンドの方向性会議」だけで、売れるためにはどうする? と3人で話し合う姿は、まさにバンドの内情そのものをコミカルに表現したものだったと言えるでしょう。このライブそのものが、「ロックバンドのイメージとの対立」を戯曲化するための「新喜劇」だったことは言うまでもなく明らかでした。でもそれって、すごいことで。本当にすごいことで……。だって普段は絶対にそんなこと、言わないですよ。表に出さないですよ。そもそも知りたくもない。なのに、それがはっきりとした意思をもって、そしてショウとしてユニークに表現されていて、しかもそれを私たちがそれほど特別なこととは思わずに受け止めているというのは……。
あなたと同じ目線に立ちたい。あなたと同じ目線の世界であなたを励ましたい。
そういう想いの強さが、これまでのウラニーノの「かっこいいロックバンド」からの反逆と、「ヘボ」さの演出の理由なのだとしたら! しかし今回はそれが、表現したい内容とそのための演出が逆転し、あくまで影であったウラニーノのもう一つの姿が爆発したように感じられました。そして、それは、本当に、とんでもなく、心震える感動的なものでした。
アンコールのMCで、山岸さんは、「あくまでこれはショーなので、決してコント中での何やかんやは他のバンドさんを皮肉にしているわけではなくて……」と触れて笑いが起きていましたが、しかしこの言葉はどちらかというと、初めて自分から自分への手紙を朗読したことへの一種の照れ隠しのようにも感じられました。

一種のスターである「ロックバンド」としてではなく、悩み、みっともなくあがくその姿をさらけ出すということ。共に日常を生きるということ……。
今回のワンマンは、間違いなくここ数年で僕がみたウラニーノのどのワンマンよりも強烈で、素晴らしく、あくまで僕目線ですから何ともいえませんが、主観的に言えば、ウラニーノのひとつの大きな壁が崩れたように感じられたライブでした。

これからのウラニーノは、どう進むのでしょう。
今回のように、「ロックバンド」と戦う姿勢がまた現れてくるかもしれませんし、一方で、昨年の「収穫祭」で示されたような、東京を生きる人々への応援歌のカラーを再び打ち出してゆくかもしれません。たぶんそのどちらもが共存しながら、ウラニーノはまた、大きく変化してゆくのでしょう。
「次のツアーは、“レコ発完売御礼”にします!」と力強く宣言された今回のワンマン。紛れも無くウラニーノのひとつの季節が終わり、そして新たに始まった一夜だったと思います。
やっぱり大好きだよ! ウラニーノ。そして、かっこいい。ひたすらかっこいいのです。初めてのことですが、次のライブには友人を誘おうと思います。たくさんたくさん誘おうと思います。このバンドは、知られなきゃ、だめだ!


関東のワンマンで披露された未音源化の新曲一覧(20曲)

・明日を照らせ
・愛してる
・縦笛ハンター
・ファーマーの長男
・死ぬとか生きるとか
・夜を越えて
・晩夏
・中距離恋愛ラプソディ
・神様と東京ウォーク
・荒川クルーズ
・戦場に咲いた花
・ファーマーがダーリン
・音楽はあるか
・祈り
・ロックバンド
・無題
・アンケートを握り締めて
・新曲(花〜)
・新曲(セクース オン ザ ビーチ)
・手をつなぐ(ラジオでオンエア、レコーディングされている? が未収録)